子どもの節句は、いいチャンス!?京都の伝統的な色街の性教育をこっそり拝見!

5月5日はこどもの日でした。江戸時代には、子どもの節句にかこつけて性教育が行われていたという一説を考察してみます。

5月5日は子どもの日でした。一昔前までは「端午の節句」と言って、主に男の子の成長を祝うイベントだったのですが、それにかこつけて性教育までしてしまったご家庭は今でもあるのでしょうか。

かつては端午の節句名物の「かしわ餅」や「ちまき」も性教育的な役割を果たしていた……という説もあるのですが、ひな祭りほどのインパクトはありませんでしたね。男の子への性教育は昔はサラッとしていたのでしょうか。

ひな祭りのほうが、インパクトあり!

……そもそも読者は「ひな祭り」=「女子の性教育イベント」説についてはご存じでしょうか?
ネットでは数年前から春が来るたびに話題になっている気がするのですが……この話、内田樹・三砂ちづる両氏の対談本『身体知』が元ネタのようにいわれます。しかしそのさらに元ネタともいうべき一冊が『京のおなごはん』という京都・河原町の老舗料亭の女将のエッセイ本だと思うのです。


ひな人形


それでは京都の伝統的な色街の性教育をこっそり覗いてみましょう!

ひし餅の中身

京都の色街では、ひし餅の中には「白あんのドロドロ」が入れられていたそうです。わかりやすいですが、筆者の知るかぎり、ひし餅の中にあんこが入れられているケース自体が珍しいようです。京の色街では、「それが女性の愛液と教えます」

白酒

さらに白酒については「母が少女に男性の精液を飲むように教え」るそうですよ。呪術的な目的というより避妊対策、もしくは遊び人の男に他の女とアタシは違うのよ!とアピールするためとか妊娠中に男に浮気されるのをストップするためのテク……としてでしょうか。いや、江戸時代は武士など上流階級の女性もこの手のテクを知っていたわけです。そう考えると西洋より日本はエロス先進国だったことがわかりますよね。同時期の西洋ではその手のオーラルセックスは宗教的にタブーでしたから。

おすましのハマグリ

ちなみにおすましの中のハマグリは「十三歳(以降)の女の子の型」だそうです。ほかに「赤貝のぬたあえ」もメニューとして登場、女性器を意味する貝に、「ドロドロとした白味噌」があえられおります。わりとこってりした印象です。

〆のちらし寿司

最後は「ちらし寿司」を使って色んな具があるように、世の中には色んな人がいるけど、それらを噛みしめて味のあるオナゴはんになってや!と教えるんだそうです。一例をあげるとシイタケはいろいろと「黒い人」のこと。錦糸卵はピラッピラの(中身の)「薄い人」のことだとか。


ひなまつりのごはん


性教育というよりセクハラ御膳のような観もありますが、これらを年長の女性から教わるのは(結婚を控えた)10-13歳の少女たちでした。

実際のところは?

しかし、筆者が周囲の年配女性にそれとなーく聞いてみたところ、まったくそういうことは教えられもしなかった、ひなまつりがそんなイベントだったとは考えもしなかったという声の方が実は多かったのですね。


確かに『京のおなごはん』にも書かれていますが、もともとは「ひなまつり=性教育イベント」というわけでもないんですね。中国からひなまつりの源流ともいうべき行事が輸入され、上流階級に根付きだしたのがが室町時代のこと。


日本では、魔除けと健康を祈る役割のお人形を、同じく魔除け効果が期待された桃の花と共に飾るという行事がに発展、江戸時代初期くらいから現代の段飾りのおひなさま(および、白酒、ひし餅などのアイテム)が登場していったそうなのです。このあたりにはまだ性教育の「せ」の文字もありませんね。

筆者の見解はコレ!

結論ですが、筆者はひなまつりが性教育に使われた地域もあった、ということで理解しています。ひなまつりが性教育イベントとして使われていた場所として有力なのは、昔からの色街です。たとえば浅草などの料亭(※吉原遊郭の近所)、それから『京のおなごはん』で描かれる老舗料亭があるのも京都の河原町という、かつての色街なのです。河原町とか祇園というと、現在でも「一見さんお断り!」の格式高いお店がつづいている地域です。しかし江戸時代、それらの地域の料亭といえば、京都版吉原といってよい、島原遊郭公認エリアだったのです。


これらの色街では、ひなまつりが性教育の機会として利用された。その手のビジネスを稼業もしくは裏稼業とするエリアでは、性に対して拒絶感のある女性は生きにくい。だから幼いころから性に対してポジティブになれるよう、性のエリート教育が施されたということだと思うのです。


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著者紹介 堀江宏樹さん

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。2016年秋発売の『恐い世界史』(三笠書房)が現在ヒット中。好評近著に『乙女の真田丸』(主婦と生活社)、『三大遊郭』(幻冬舎)。最近の文庫化に『愛と夜の日史スキャンダル』『乙女の日本史 文学編』など。
プロフィール写真:(C)竹内摩耶

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