もはや女性にとって第二の顔!?理想の「i」ラインを求めて

女性が女性であることを象徴するアソコに求めるのは、やっぱり理想の形。

    世界中での流行につづき、現代日本でも小陰唇をはじめ、性器のカタチにこだわる女性が増えているようです(第一話をお見逃しの方は『女性器ブームの始まりは「縄文」時代からだった!?』をどうぞ)。

    理想の「i」ラインを求めて!という彼女たちの姿勢には、アソコ本来の多様性はどうなったという反論もあるでしょう。

    しかし、アソコは女性が女性であることを象徴するパーツです。「女性として、自分自身がいちばん納得していたいパーツのひとつ」だという女性ならではの強い、本能的な要望が隠れているのではないでしょうか。

    アソコは陰部というより、もはや女性にとって第二の顔の扱いに近付きつつあるのかもしれませんね……。

    【前話(第1話)】 女性器ブームの始まりは「縄文」時代からだった!?

なぜアソコにこだわる?

それぞれニーズは違うのに、なぜ人類は女性のアソコにこだわってしまうのでしょう。

そもそも女性のアソコには古来、強力な魔力、邪悪なモノを退けるパワーがあるとされてきました。
アフリカのある部族は、悪いことをした男性を女性たちが取り囲み、アソコを丸出しにして威嚇する、とか、その手の民族的な文脈だけでなく、実は事情はヨーロッパでも同じです。

キリスト教的倫理観によって女性は純潔を守ることを強いられ……とかよく聞きますが、古代だけでなく、中世になっても悪魔に襲われた女性が、女性器を丸出しにすることで見事に魔除けに成功!

……なんて身もフタもない記録が見られるのは珍しいことではありません。

中世ヨーロッパでは小規模な都市国家が高い城壁に守られ(それこそ『進撃の巨人』の都市のように)存在していましたが、イタリアのミラノ市の入り口のひとつを12世紀に作られて以来、19世紀末に取り壊されるまで守り続けていた「トーザ門」にも長いスカートをまくしあげ、アソコを剥き出しにして敵を威嚇するたくましい女性の像が刻み込まれていたのですよ……。


トーザ門の魔除け彫刻Photo by G.Dallorto (Wikimedia Commons)

理想のアソコ像の起源

現在の欧米文明の源流である、古代ギリシャ・ローマ時代に、すでに理想のアソコ像は完成しておりました。

彼らの美的理想には、首から下の毛は全部ないことにする、つまり全身をツルツルにするというムチャなものがありました。

女性器周辺のアンダーヘアについても、です。

その手の脱毛を「ブラジリアンワックス」などと現代ではいいますが、当時は恐らく剃毛、程度でしょうか。

いずれにせよ、ブラジルという国が生まれるずーっと以前から、アソコまわりをツルツルにするのはむしろマナーだったのですね(そもそも悪魔に襲われた時に、アソコが剛毛に覆われていると、ちゃんとブツを見せつけられませんからね……)。

宗教とアソコの意外な関係

時代は下り、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった「一神教」の勢力が増していく中で、つまり宗教的倫理観が重視されたと思われる時代にも、「毛を剃る」などのアソコのケアは非常に重視されつづけました。

女性に対し、非常に性的にストイックな態度を求める印象の強いイスラム教ですが、「ワキの毛は抜いて、アソコの毛は剃る」のが身だしなみだと聖典コーランに規定されているのです……。

コーラン
もともとユダヤ、キリスト教だけでなくイスラム教も砂漠の宗教ですから、生活拠点に十分な水があるわけではなく、不潔になりがちな女性のアソコ周りを清潔に保つための手段でもあったのでしょうが……教典で指示とは、びっくりしますよね。

聖典がアソコの毛の状態について規定するケースは世界的にも珍しいとのことです。

欧米文化圏に限った話をすると、逆に宗教上のルールが優位でなくなった、たとえば信仰よりも科学が重視されがちだった19世紀には、ワキ毛や陰毛は女性でも生やしっぱなしがフツーになっていったのでは、という指摘も出来ますね……。

読者の皆様は前回紹介した、クールベの『世界の起源』という絵を思い出してみてくださいませ。

宗教モラルとアソコの意外な関係、いかがでしたでしょうか。


『堀江宏樹のアソコ世界史観』過去記事一覧



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著者紹介 堀江宏樹さん

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。2016年秋発売の『恐い世界史』(三笠書房)が現在ヒット中。好評近著に『乙女の真田丸』(主婦と生活社)、『三大遊郭』(幻冬舎)。最近の文庫化に『愛と夜の日史スキャンダル』『乙女の日本史 文学編』など。
プロフィール写真:(C)竹内摩耶

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