肉食禁止の平安時代、人々はこうやって「精力」をつけていた!

世界三大美人のひとりである「小野小町」の伝説から、当時の精力事情を考察

男を拒み続けるキャラの理由が凄かった!

世界三大美人(日本版)にもセレクトされているほどの美人キャラ・小野小町。 彼女は和歌の才能にも美貌にも恵まれ、それゆえ異様にプライドが高く、男を拒み続けたキャラとしても有名です。というか後者のほうが日本史の中では有名になってしまっていますね。日本や中国といった儒教文化圏では、美女=男を惑わす悪として考えられていたからです。

小野小町といえば、非常に言い寄る男たちをキツい対応で追い返したという逸話があるわけですが、この理由として「彼女には子宮がなかったから」……との伝説までささやかれていたりします。

その伝説がさらに一人歩きして生まれたのが、まち針=小野小町が語源説。 まち針には他の針のように糸を通す穴が空いていません。小野小町が生まれつき子宮がなかったので、そういう例えになっているとか。以上は現在なら重度のセクハラで訴えられるレベルの話です(笑)。

それは小野小町を神秘化するための演出?

しかし、当時の感覚では、必ずしも侮蔑的な意味ばかりだったわけでもないようです。 子宮がない=月経がない=普通の女ではない=神に近い存在だ……との発想の転換で、小野小町というナゾの女性を、さらに神秘化するための演出だったという説もありますからね。

平安時代の生理の話なんですが、当時、宮中に仕える女官には生理休暇がありました。当時の法律にあたる「律令」では「淋假(りんか)」と呼ばれ、(半)月に三日との規定ですが、慣例上、総計八日ほど休めたようです。生理は(女性特有の)血のケガレと考えられていたため、神聖な朝廷を血でけがしてはならない!という発想ですね。 そもそも(子宮がないため、その手のケガレもない)小野小町は神……という発想についても、少しは理解していただけたでしょうか。

「○○料理」で元気になりすぎた結果・・・

ところが、小野小町には「美人薄命」どころかえらく長生きしすぎて、老残を晒してしまったとも言われています。それは、 平安時代のアンチエイジング法を熱心に実施していた結果だったのかもしれません。

当時、アンチエイジングに使われたのは食材が中心です。小野小町といえば「美と健康のため、鯉料理を好んだ」という説も実際にありうる話です。(皇太子妃時代の美智子さまのご懐妊がわかった時も、ときの皇后様が鯉を贈られたという記録が残っています。)当時の医学書『医心方』にも「(鯉は)気血を増強する」食べ物として紹介されております。食べると体がツヤツヤしてきて、髪なども潤う……ぶっちゃけ精力剤だったんですね!

ちなみに前回も出てきた『医心方』にも精力剤の類は比較的多数出てくるのですよ。意外な食べ物も含まれており、たとえばサトイモなどもその一つです(粘りがいいと思われていたのでしょうか……)。

良質なタンパク質摂取が鍵を握っていた!?

平安時代の生理休暇の話に戻りますが、三日で終了(いちおう八日ほどは休めたにせよ)とされていたのは、現代人女性よりもずいぶんと生理が軽かったからと考えることができるようですね(ヘンな話、現代ではようやく生理の苦しみのヤマを超えた!という感じの頃だと思うんです)。

この連載も「現代日本は空前のアソコブームだ!」とかいう話ではじめましたが、そこには女性が辛い生理の苦しみをいかにラクにできるか……という願望も含まれていたりするわけです。たしかに諸説あるんでしょうが、平安時代の女性の生理が軽かったのは、現代人のような「不自然」な生活習慣を送っていなかったからというだけでもないようですよ。

簡単にいうと、当時の貴族たちは「律令」によって食用が禁止されている「四つ足の獣の肉」をはじめとして、肉食自体をあまりおもてだっては行いません。現代とはタンパク質の摂取量が比べものにならないほど低く、こういう食生活の時代は生理も軽ければ、その分、逆に妊娠もしづらい傾向があった……と思われます。まぁ、生きてる時代の善し悪し、でしょうねぇ。

ですから、当時は肉食の(法律上・心理上の)タブーを回避しつつ、どうやって精力を得るかが重要視されたのだと思います。鯉の肉というよりも、鯉の「煮汁」や「血」が好まれていた……と筆者などは思うわけです。すくなくとも肉ではありませんからね。

アソコの話から少々脱線しましたが、むかしの人々の発想を知ると、人生がおもしろくなるような気がしますね。


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著者紹介 堀江宏樹さん

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。2016年秋発売の『恐い世界史』(三笠書房)が現在ヒット中。好評近著に『乙女の真田丸』(主婦と生活社)、『三大遊郭』(幻冬舎)。最近の文庫化に『愛と夜の日史スキャンダル』『乙女の日本史 文学編』など。
プロフィール写真:(C)竹内摩耶

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