中世イスラム文化には「アソコケア」が存在!?厳格なイメージの裏にあった快楽至上主義とは?

昔は意外と開放的だった中世のイスラム教文化。知ってびっくりのお手入れの方法とは一体?

厳格なイメージとは裏腹に

生活全般に対してストイックな印象の強いイスラム教文化。しかし少なくとも近世までのイスラム教文化は、性愛方面には意外なまでに開放的でした。「快楽が罪」とするキリスト教文化とは異なり、快楽のためのセックスもぜんぜんOK、むしろ推奨という態度のイスラム教文化では媚薬の使用も全面的に許されていたのです。

アヘンやハシッシュ(大麻)など、現代では「危険ドラッグ」の類も媚薬として、ごくごく頻繁に用いられておりました。もちろんハシッシュなどは多用してしまうと性欲減退を招き、性欲減退した男性は、妻から離婚を切り出されても文句をいえないという習慣があったため、ほどほどに使用されていましたが。

完全に男性優位の社会・文化に見えても、イスラム教文化では夫は妻を満足させられるよう、あらゆる努力を強いられたのでした。現代でもイスラム教文化で飲酒はNGなのですが、媚薬として……たとえばお酒に、これまた媚薬あつかいの麝香(ムスク)や、ハシッシュなどを溶かした場合は飲んでも多目にみられていたわけです。

hashish


12世紀のペルシアの詩人マハサティには次のような詩句まであります。 

It is hashish that brings enlightenment to reason; [but] he who devours it like food will become a donkey. The elixir is moderation; eat of it just one grain, so that can permeate the being of your existence like gold.

AMID AHMAD
MAHSATI-ROMAN
(TWELFTH CETURY)

引用元:Rätsch, C. 著『Marijuana Medicine』

(日本語意訳)

「ハシッシュは理性に悟りをもたらす だが、度を超す者はロバになる 愚か者よ、 ハシッシュを歓びのために用いぬ者は」

度を超さなければ、というルールはあるにせよ、快楽が優先。相当に成熟した性愛文化がイスラム圏にはあったのでしょうねぇ。

それは、イブン・アラビーというイスラム思想家の「交合こそ(略)神と合一をはかるため、もっとも深くもっとも完全な方法だと(マホメットも)考えていた」という見解にも明らかですが、セックス=神聖な行為としてとても重視されていたからです。

セックスマニュアルが存在!?

イスラム教文化にもセックスマニュアル的な書物が実は存在しています。15世紀に書かれたという、その名も『匂える園』という書物ですが、これ、そのまんま女性のアソコのことを指しています。……とはいえ悪臭・異臭のある状態とは真逆です。

当時、イスラム教徒の女性は当時、世界最先端といってもよいアソコケアを実行していたようです。イスラム教文化で女性のアソコは「歓びの門」とも呼ばれ、細心の注意をもって女性自身の手でお手入れされておりました。

しかし、これかなり若い女性、それも処女みたいなアソコが褒め称えられる文化があったようで、『匂える園』第九章によると、こんな記述が……。 

「唇は長く、裂け目は大きく、縁は左右対照で美しく丸みを帯びている。それは柔らかで誘惑的で完全である」

……これは「若い女のそれ」の理想像です。 「願わくは神がそのような陰門の所有をお許しくださいますよう」なんてアッラー頼みまでしていますね……すごい。本連載名物(?)の理想の(i)ラインがここにも顔を出しています。

これは斬新!メイクアップ・アソコ

さて、そんな理想のアソコからは「いまにもそこから閃光がほとばしり出るかと思うばかり」で、それもこれも日常的なアソコケアの賜物だったようですね。 

どんな手順を踏むかといえば、まずはアンダーヘアの剃毛です。さらにアソコには、最近ではナチュラル派の染毛剤として有名なヘナという植物エキスが塗り込まれます。調合の度合いでさまざまな色味が出ますね。当時、ヘナは媚薬ともされていました。塗るとヒリヒリ、あつく感じられたからだそうですが……。メイクアップ・アソコってなかなかに斬新な発想ですね。

henna

ちなみにアソコ周辺の肌の色は、純白に近ければ近いほど良いとされました。アソコの赤味が対照的にきわだって美しいから、だそうです。おそらくは赤系のヘナでアソコは染められていたのでしょう。

さらに、バラやミルテといったハーブの香水でアソコを洗ったり、ラヴェンダー水や麝香オイルで湿らせた布で覆ってパックするという行程がつづきます。 ちなみにヘナはアソコだけでなく手足の爪の色づけや、額にも塗られており、イスラム教文化において、アソコがいかに重視されていたかがわかると思います……。 セックスの前には収斂効果があるとされるミョウバン水でアソコを洗浄、まるで処女のような締まりを実現しようとしたそうです。


それにしても、当時からすでにアソコケアにアンチエイジング至上主義というような傾向がハッキリと打ち出されているのは興味深いことです。ただし現代のように美容外科でアソコケアできない場合、理想の状態にアソコをキープするのはなかなか難しかったかもしれませんね……。


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著者紹介 堀江宏樹さん

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。2016年秋発売の『恐い世界史』(三笠書房)が現在ヒット中。好評近著に『乙女の真田丸』(主婦と生活社)、『三大遊郭』(幻冬舎)。最近の文庫化に『愛と夜の日史スキャンダル』『乙女の日本史 文学編』など。
プロフィール写真:(C)竹内摩耶

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