古代中国の四十八手がスゴい!女性にない要素を補ってくれたものとは一体!?

男性を元気にするためのセックスに必須とされた条件を満たすために、あの手この手で試された体位とは?

古代中国ではすでにセックスと健康にまつわる研究が進んでおり、それらを房中術と呼んでいました。その知識は日本にも平安時代以降伝わり、その後も長く応用されていきました。

古代中国では、男性の精液は男性が元気に生きていくためのエネルギーそのものだと考えられていました。このためセックスを「あまりやりすぎると身体を損なう(『玉房秘訣』)」……とすら考えられていたのですが、「性交をしすぎて病気になったら、性交で治せばよい(前掲書)」といわれており、いわば女性のアソコはエネルギーを出し入れするための門と考えられていたようですね。

「体位」と言えば!?

さて今回のテーマはズバリ、体位です。現代日本のオトナたちは体位と聞けば「四十八手(しじゅうはって)」を思い出してしまうハズですが、実はこの四十八手、古代中国の房中術とほぼ無関係なんですね。もちろん中国にも「四十八手」的なものはありました。

はるか昔の「三国志」時代、紀元前二世紀頃に造られた「馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)」という湖南省の遺跡から発掘された医学書の中には、すでに10種類の体位が「セックスで元気になる」という文脈で紹介されています。

ところが六世紀後半~七世紀はじめ頃……日本史的には聖徳太子が隋の皇帝に失礼な手紙をおくりつけて怒らせた頃に成立したとされる『洞玄子』という書物では、体位数が30種類にも増加。

この書物が日本にも輸入された結果、独自研究的に拡大していったのが、日本の房中術です。日本独自の「四十八手」も軽く解説しておくと、四十八という数字に「ものすごくたくさんの」以外の大きな意味があるわけではないようですね。


房中術図解

『洞玄子』などで研究された体位の図解

日本での概念確立はいつ?

日本で「四十八手」という概念とセックスの体位がむすびついたのは、江戸時代中期のこと。元祖・浮世絵師……にして近代春画のスタイルをも創り上げた、あの菱川師宣の発案でした。

……だから体位のリストの中に、なぜか四十二番として「尺八」が、つまりフェラチオなどが紛れ込んでいたりするんでしょうかねぇ。四十八という数を満たそうとして、苦し紛れに入れ込むしかなかったのかも。

古代中国のスゴい「体位」


さて……ようやくお話を、本題である“中国の「四十八手」がスゴい”に進めることができます。『洞玄子』に紹介された30種類の体位が、セックスで元気になるための「基本体位」ですが、その何割かがなんと三人で行うための体位なんですね。

古代中国では三人で行うセックスを「三人淫」などと称し、しかもその三人とは成人男女のカップルに、成人前の少年を加える……というなかなか刺激的なものでした。

なんで少年なのか、と思うかもしれませんね。この理由を推測すると、実に興味深いのです。前回までにお話ししたように、アソコが名器な女性と交わることで、男性はさらなるパワーを得ることが出来ると古代中国では考えられていたのですが……アソコが名器な女性は「外見でわかる」というのも古代中国の教えで、極端な体型(肥満とか痩せぎす)の女性といたすのは男性側のエネルギーを奪うとしてNGなのでした。しかし中国=儒学の王国ですから、結婚は家と家を結びつける儀式であり、男性が肥満体の女性……つまりアソコが名器ではない女=セックスなどしたら男が健康を損ねかねない太った女と「交わらねばならない」場合がでてくるんですね。

この時の救世主が少年なんです。たとえば『洞玄子』の「基本体位30」のうち、第十六番の「鳳将雛(ほうしょうすう)」は、伝説の鳥である鳳凰のつがいが、ヒナを可愛がるというような意味なんですが、「太った女と交わる時には」という但し書きがついています。

太った女性を仰向けに寝させ、彼女に少年が覆い被さるように正常位で挿入。成人男性は後ろから少年の肛門に自分のペニスを、そして時々は女性のアソコにも挿入……という感じ。過激な体位ですよね。古代中国の上流階級のベッドルームではこんなことも平然と行われていたんでしょうか……。

ふくよかな女性では満たされない要素を・・・

古代中国では、楊貴妃などがいた唐の時代くらいしか、ふくよかな女性も美女扱いを受けることはありませんでした。美女=スレンダーな女性というのが公式見解なんです。

だから女性が太っているだけで、男性にとってはずいぶんなマイナス要素だったのかもしれませんが……女性にないスレンダーな要素を、おそらくはスレンダーな少年で満たそうという考えは独創的すぎます。なんだかあやしい夢がふくらんでしまいそう!


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著者紹介 堀江宏樹さん

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。2016年秋発売の『恐い世界史』(三笠書房)が現在ヒット中。好評近著に『乙女の真田丸』(主婦と生活社)、『三大遊郭』(幻冬舎)。最近の文庫化に『愛と夜の日史スキャンダル』『乙女の日本史 文学編』など。
プロフィール写真:(C)竹内摩耶

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