萎縮性膣炎

イシュクセイチツエン

萎縮性膣炎は、老人性膣炎とも呼ばれる「膣内の炎症」並びにその「病状」のことを言います。

女性の膣内は、襞(ひだ)で覆われた膣壁(ちつへき)で構成されていますが、この膣壁は細胞質内にグリコーゲンを蓄積する役割を持っており、膣内の自浄作用を手助けしています。

乳酸による自浄作用

もう少し詳しく説明していきましょう。
膣内には、デーレルライン桿菌と呼ばれる乳酸菌が常在しています。
この乳酸菌は、膣壁に蓄えられたグリコーゲン(正しくは、膣壁から剥離した細胞の中に含まれているグリコーゲン)を乳酸に換える働きを持っており、その乳酸により膣内は酸性(pH4.5前後)に保たれることになります。

膣内が酸性に保たれることで、酸性環境に弱い細菌の増殖が抑制され、結果的に膣内は清浄な状態になるというわけです。

このことは、「膣内の自浄作用」とも呼ばれています。

グリコーゲンの蓄積に欠かせないエストロゲン

膣壁に蓄積されるグリコーゲンは常在菌を乳酸(膣内を酸性に保つモト)に換える原資でもありますが、”あるもの”が無いとグリコーゲンの蓄積は促進されません。

そのあるものとは、女性ホルモンの1つである「エストロゲン」と呼ばれるものです。

エストロゲンは、脳の視床下部にある下垂体から分泌される「性腺刺激ホルモン」に卵巣が反応して分泌する女性ホルモンですが、この女性ホルモンがあることにより、膣壁はグリコーゲンを蓄積できるようになります(膣内の表皮細胞への分化が促されることにより、細胞内にグリコーゲンが蓄えられる)。

エストロゲンの分泌低下の原因は閉経?

エストロゲンの分泌が低下し、グリコーゲンが不足すると、常在菌であるデーレルライン桿菌は乳酸を生成することができなくなります。

乳酸は、「膣内の自浄作用」のために膣内を酸性に保つ役割を持っていますが、乳酸が生成できないことはすなわち、膣内の細菌増殖を意味します。

では、エストロゲンはどのような場合に低下するのでしょうか?

多くの場合、卵巣の機能低下・・・簡単に言ってしまえば「閉経」後、エストロゲンは大幅に低下します。

萎縮性膣炎(老人性膣炎)はなぜ起こるのか?

つまり、エストロゲンの減少に端を発して

  • 閉経によって卵巣の機能が低下(停止)
  • 卵巣機能低下によるエストロゲンの減少
  • エストロゲンの減少による膣内グリコーゲンの蓄積低下
  • デーレルライン桿菌がグリコーゲンを乳酸に変換できず(エサがない)
  • 乳酸の減少により膣内の酸性(pH4.5前後)バランスが変化
  • 酸性バランスの崩壊により細菌の増殖抑制がきかなくなる
  • 膣内の細菌が増殖して炎症を起こす

上記のような事象が上から順番に身体の中で発生することになります。

閉経の平均年齢は50歳前後と言われていますが、閉経によるエストロゲンの減少が膣内の細菌増殖を許すことになり、炎症を引き起こすのです。